外国人支援事業

外国人材と、ともに発展する未来のために

少子高齢化に伴う人手不足が、さまざまな業界で課題になっています。なかでも特に深刻とされているのが、介護、IT、建設、農業、外食業などです。IT業界に注目してみると、デジタル技術の発展に伴い「自動運転」「スマート農業」「遠隔医療」「キャッシュレス」など多様な分野でITの活用が進んでいることからIT人材が不足しています。
その数は、なんと2025年で約36万人、2030年で約45万人が不足すると試算されています※1。また、介護業界では、2019年度の介護職員数を基準とすると、団塊の世代がすべて後期高齢者となる2025年にはプラス約32万人、2040年度にはプラス約69万人の確保が必要と推計されています※2。

※1 出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」2019年
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
※2 出典:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」2021年
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/000804129.pdf

こうしたなか、政府は海外から高度人材の受入れを促進するため2012年に「高度人材に対するポイント制」を導入、さらに2014年には在留資格「高度専門職」を創設しました。また、2019年には特に人材の確保が困難となっている14職種を対象に、新たな在留資格「特定技能」を創設。これら政府の動向を受け、企業では海外から優秀な人材を登用する動きが活発化しています。

単なる「助っ人」紹介にとどまらない、ともに成長できる人材の紹介

社会の要請を受け、ECCでも外国人材のマッチング・定着支援事業を推進しています。ECCがめざす外国人材の紹介は、単なる「助っ人外国人」の紹介ではありません。社会の国際化、多様化が進むなか、外国人にとっても日本企業にとっても発展につながるような、「互いに活かす、互いに活きる」を実現できるマッチングを提案しています。現在は、インドやバングラデシュ、マレーシアのIT人材、フィリピンやミャンマーの介護人材など優秀な人材を日本企業に紹介するため、現地の大学や職業訓練校と連携をとり準備を進めています。

言語教育の事業で、全世界から外国人講師を雇用してきた実績をもつECC

なぜ、ECCの外国人材のマッチングが「互いに活かす、互いに活きる」を実現できるのか。その理由はECCがこれまで長年にわたり、英語をはじめとする言語教育事業を通じて、全世界から外国人講師を雇用してきたからです。さまざまな国籍の仲間と同じオフィスで協働してきた私たちだからこそ、外国人が日本企業で働く際につまずきやすいポイントも、支援の仕方についても深い知見を持っているのです。

日本語と日本の文化を学んだうえで来日。だから、うまくいく

これまでの私たちの経験から、日本で働く外国人、受け入れる日本企業、ともに一番の壁となるのは、やはり言語です。しかし、1962年から半世紀以上にわたり母語以外の言語教育に携わってきたECCには、外国の方が日本語を習得するためのメソッドとノウハウがあります。来日前の段階で、日本語能力試験の認定はもちろん、仕事上での日本語によるコミュニケーション、日本文化などをしっかりと学ぶので、スムーズに働き始めることができるのです。また、来日前には入国手続きのサポート、来日後には日本語教育の継続や生活支援など定着のためのサポートも実施しています。

特にITについては、外国人の日本語能力向上だけでなく、外国人材と英語でのコミュニケーションを図るために、日本人社員のITに関する英語力を専門的に向上させるコースも開講しました。スマホアプリを通じた学習サポートと、日本語を学ぶ現役の海外エンジニアとの言語交流を学習に取り入れ、UI・UXデザインやプロジェクトマネージメントなどの具体的な場面で実践的に活かせる英語が学べるようになっています。

また「互いに活かす、互いに活きる」を実現するため、異文化コミュニケーション研修も提供しています。外国人材を採用する前に社内の異文化理解を深めることで、外国人が働きやすい環境を事前に整えておくことが可能です。

外国人材の受け入れによるメリットは、単なる労働力の確保にとどまりません。社内にダイバーシティが生まれ、互いの文化の違いを知り、リスペクトすることからイノベーションが生まれることもあるでしょう。ECCでは、そのような企業の発展に寄与するマッチングを心がけ、高い定着率を実現しています。

今後は、現地で奮闘する日系企業のサポートも手掛けたい

2020年現在、海外進出している日系企業の拠点の総数は8万373拠点。最も多く進出しているのは中国で3万3341拠点、次いでアメリカの8930拠点、タイ5856拠点、インド4948拠点、ベトナム2120拠点と続きます※3。現地では数多くの現地社員が働いています。日系企業の理念を共有したり、駐在する日本人とコミュニケーションをとったり、日本の本社とやり取りをするには、日本語の理解が欠かせません。そして、日本語が理解できると、日本人の考え方も理解しやすくなるという好循環もあります。

ECCでは今後、このような日系企業で働く外国人を対象に日本語を教える事業も計画しており、外国人と日系企業との互いに実りある出会いに貢献していきたいと考えています。

※3 出典:外務省「海外進出日系企業拠点数調査」2020年調査結果(令和2年10月1日現在))
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/ec/page22_003410.html